写真 photo・堀山俊紀 HORIYAMA Toshiki
主催/モチーフ/HP製作 host/motif/Website Design・瀧澤綾音 TAKIZAWA Ayane
場所 place・千葉県九十九里浜 Kujukuri Beach-Chiba
服 cloth・俊紀さんの私物 と 撮影する日に近所の古着屋で見つけたスカート Toshiki`s cloth &more
「あなたのまなざし」 many thank to・今野裕一郎 KONNO Yuichiro / 宮崎玲奈 MIYAZAKI Rena
「あるがままを愛するために」という試みでは、
『”美しい・いいな・好き”を大切に、”社会的”なことや主催する人のことは考えず、自分の感性を大切にしてください。』
とお願いして、撮影やセレクトもお任せしています。
第7回は、俳優、写真家、音楽家の堀山俊紀さんです。
俊紀さんのお写真はとても光が印象的で、ご自身でいろんな活動をされていることから、お声がけさせていただき、今回ご一緒することができました。
この企画のことを聞いて、考えてくださり「光」をテーマに撮影に臨みました。
愛を持って、前のめりに挑戦してくださり、楽しんで一緒に創造してくださったことで、
モチーフの人間のいろんな表情や形・その性質が写真にうつりこみ、そして俊紀さんの写真の豊かな部分も存分にうつり、
互いがそれぞれ 在りながら、融和しているような作品になったと思います。
また、俊紀さんが楽しみ 前のめりに挑戦してくれたおかげで、俊紀さんの新たな写真をみれたような気がして。
「この企画をやってよかった」と思えるときになりました。
俊紀さんは、「最近は誰かの作品に参加してありがとうと言ってもらえることが多かった。また自分の作品を作って全力でひとにありがとうと言っていきたい」
ということを撮影の帰りに話してくれました。これからの作品も楽しみです。
「あなたのまなざし」では、
好き・いいなと思う写真を選んでもらい、言葉もいただきます。
今回は、パフォーミングアーツコレクティブ バストリオ主宰の 今野裕一郎さん
劇作家・演出家・演劇カンパニー ムニ主宰の 宮崎玲奈さん
おふたりの目線にふれてみたい とお願いしました。
今野さん、玲奈さんは、真摯に作品に取り組まれ、演劇やパフォーミングアーツの作品で 丁寧に人と共に創作をして、そして ご自身の世界があるなと思っていました。
楽しく 真摯に、その人の感性を使って、その場で何かを起こしていくことを挑み続ける バストリオ。愛を持ってみつめる今野さん。
作品を通して葛藤をどこまでもどこまでも真摯に考え続け、そしてひとと共に創作をし ひとりひとりに丁寧に向かいあう玲奈さん。
そんなお二人に「あるがまま」ということについてお話を聞いてみたく、今回お声がけしました。
「あなたのまなざし」
人はそれぞれの世界を見ている。
偶然の位置やその人との関係性、そして記憶・経験からくる思考や感情。
私は、それぞれの人生があることが不思議で、ひとりの人間の営みのかけがえなさを思い、愛おしく思います。
あなたの世界に少しでもふれてみたい。
好きやいいなと思う写真を一枚選んでいただき、言葉をいただきました。
堀山俊紀さんの選んだ一枚
堀山俊紀さんのまなざし
この企画を始めるにあたり2回打ち合わせしました。
1回目は僕の写真企画に参加してもらい、明治神宮周りを歩きながらたくさんお話しました。
途中日が暮れて、代々木公園へ移動しました。その時にいただいたどら焼きがとっても美味しかったです。
2回目はIKEAに行きました。
広いフードコートへ行き、ふたりでびっくりするくらい甘いケーキとドリンクを手にたくさんおしゃべりしました。
「わたしジップロックすごく買うんです」と向かう道中で話していたのですが、
僕の想像の3倍買っていて、つられて僕もたくさん買いました。
瀧澤さんとはとにかくたくさんお話をして、もう何を話したのか正確には覚えていませんが
甘いものが食べたくなるくらい、とにかくおしゃべりしました。とにかく笑いました。
その時間が今回の写真には写っていると思います。
「あるがままを愛すること」
それは自分にとってのなんなのか、いまだに分かりません。
なのでまずは、遊ぶことから始めてみます。
また遊びましょう。
堀山俊紀
<プロフィール>
2014年より俳優活動、2019年より音楽家、写真家、としての活動開始。
俳優、写真家、音楽家としての活動の中で培った多様な身体・視点を生かして「教室の隅っこ」に届く表現を目指している。
「今野裕一郎さんのまなざし」
<写真を選んだ理由>
これやな、ってすぐなりました
<あるがままについて>
瞬間的なことなのかな、持続するもんじゃない気がして
命にはそれぞれ固有の時間があってその中に既にいるから
全うしてる限りはみんなそう、って思いましたがすぐそれっぽい言葉になって怪しい
自分のことも、人間以外の存在も、大昔からあるものも、新しいものも、既にあるのにわざわざ掴まえたくなっちゃって、でももうあるからいいじゃんって思うこと
<プロフィール>
映画つくってます、舞台つくってます、文章書いてます、庭触ってます。
パフォーミングアーツコレクティブ「バストリオ」主宰、知床で「葦の芸術原野祭」実行委員やってます。
2023年10月こまばアゴラ劇場で『一匹のモンタージュ』という舞台作品を発表します。
今野裕一郎さんの選んだ一枚
宮崎玲奈さんの選んだ一枚
「宮崎玲奈さんのまなざし」
香港での通り魔事件のニュースが、4日前にわたしのタイムライン上に流れてきた。男らしい格好をしていた女性の方が執拗に攻撃され、パートナーを助けようとした女性も攻撃され、レズビアンカップル二人とも亡くなられた。26歳と、21歳、わたしはひとりと同い年だった。自室で布団にくるまりながら、なにがなんだかわからなくなり、取り乱した。同い年の同士が理不尽な暴力により命を奪われたことの怒り、どうしようもなさ、いつ自分がそうなってもおかしくない現実への不安がないまぜになり、勝手に涙が溢れていた。
わたしは現在、レズビアンアイデンティティを巡る約8時間の長編作品の制作を2年間にわたり行っている。いざ上演してみると、レズビアンを客寄せに使っているだとか、こんな演劇やらない方がいい、と面と向かって言われることもあり、落ち込み、堂々と立ち向かえるヤンキー精神があればなぁ、と思うこともあった。トランスフォビアや同性愛者へのヘイトが日本でも加速していると感じる中で、座組みの皆を危険にさらしてしまうかもしれないとか、ヘイトを受けるかもしれないとか、そんな、本来、演劇作品の上演をするだけでは考えなくてよいことも、この作品の上演時には考えざるを得ない状況だ。
なぜわたしだけ書きたいことを書き、上演する、という、とてつもなく当たり前のことを多くの困難さの中で行うことになるのだろう、と自己嫌悪に苛まれるし、他者を羨む気持ちも芽生える。かといって、演劇のために自分を殺すこともできない。殺すことのできない自分自身が、もしかしたら、あるがまま、ということなのかもしれない。嫌なことを言われる度に、痛みに鈍感になっている自分も存在する。あるがままに、演劇ができたらと、弱いままでいられたらと思うが、難しそうだ。
フロリダに出張で行く時、自分の身の安全のこととか、不安になるんだよね、と二丁目で外国の方の話を聞いた。あなたたち素敵ね、と言われて一杯ご馳走になりながら、他愛もないおしゃべりをして、わたしたちは自然体で、あるがままに、笑っていた。香港の事件の3日後のことだった。
2023年6月9日
<プロフィール>
劇作家・演出家・演劇カンパニームニ主宰。1996年高知県土佐市生まれ。第11回せんがわ劇場演劇コンクールにて『真昼森を抜ける』で演出家賞。今年11月に演劇作品『ことばにない』後編(上演時間4時間半予定)を予定。